1月16日はお寺の御年始です
昔から正月の16日とお盆の16日は「地獄の釜の蓋が開(あ)く」と言われます。釜が開くと地獄の鬼は休日になり、地獄の亡者も責め苦を免れることができます。
そして、この日は奉公人も主人よりお休みをもらえ、郷里に帰ることを許されました。郷里に帰った者はお寺参りを欠かしませんでした。その名残が今も残っているのです。
延命寺でも朝から多くの檀信徒がお見えになられました。皆さん、本堂に入って正面に置かれた鉦(しょう)を「カンカンカン」と鳴らして御本尊様に新年のご挨拶をされてから、位牌堂に進まれてお位牌に手を合わせられます。そうしてから本堂隅に貼られた年回表をジッと眺め、「あそこのおばんちゃんはもう何回忌だ、亡くなった人は早いね」だとか「今年はおらいのおじんちゃんが年回に当たってた」と口にされます。特に今年は震災で亡くなった方々の七回忌です。多くの方々が偲ばれておりました。
年回表を確認したのちは、住職がいる庫裏の応接間に来られます。そこで、住職と新年のご挨拶を交わします。時節のことや近況報告などをお茶を飲みながらお話しします。
今年は、御年始である1月16日が月曜日ということもあり、お参りに来られる方が少なかったように感じられました。せっかく、地獄の釜が開いたのだから、世間全体がお休みになれば良いのになあと思いつつ16日を過ごしました。